2012-10-18

少しずつ


















雨が降って気温が下がり、早くも冬に近づいているのでしょうか
今年は夏が長かったので、もう少しゆっくり秋を感じたいです

ここ最近は御注文をいただいた服の製作で毎日のようにミシンを動かしています
気候が良くなってきたので、アイロンの作業も楽になってきました



今日は少しだけ服作りの話をします


私の服作りは工場で生産される服と基本的に違い、時間がかかります

とても大切にしているのは、「丸縫い」です
たった一人が裁断〜縫製まで「全ての行程」を一人で仕上げることです
丸ごと一人でやるので、「丸縫い」と言います
そのため、細部〜全体まで一通りを目配りして愛着を持って縫い上げます

いわゆるアパレル会社で作られる服のほとんどは縫製工場で分業と流れ作業、
機械で行う裁断からはじまり各行程を分担作業で進めて早く仕上げます
丸縫いとは真逆の世界で、スピードが求められる現場です


PANHEMの服は、ひとつひとつの作業を注意深く見ながら
細かい針目で時間をかけて、できるだけ丁寧に縫い上げて行きます
一度にたくさんは作れないので少しずつになりますが
この手間があって長く大切に着れる服をつくれるのだと思います


この頃では少なくなった丸縫いですが、興味深い話があります
競馬の騎手は「げんかつぎ」として一人の職人が全て仕上げた
「丸縫いユニフォーム」を着て試合に出ると縁起が良いそうです
やはり着る服は身を包んで守る大切な体の一部という考えが根本にあるようです


早いこと、安いこと、が当たり前になってきた今の時代ですが
その裏に何があるかが分かる世の中にもなってきました
そのため最近はスローなモノ作りへの感心も高くなり、社会の意識もシフトして
少しずつ、本当の意味での豊かな暮らしに変わってきているのを感じます
これからは ゆっくりでも心ある仕事が求められる世界になると信じています